U-14 私大の研究力強化への新たな取組Ⅱ
  (モデレーター:関西大学)




 日本の大学の77%、大学生の73%を擁する私立大学は、日本の高等教育の不可欠な存在といえる。また、大学の使命の一つである「研究」の活性化を推し進め、イノベーションの芽を育む研究力を強化するためには、研究者がより研究活動に専念できる研究推進支援体制を整備することが重要である。しかし、今日の全国的に見た私立大学においては、まだまだURA体制が十分とは言いがたい。そこで、昨年に引き続き、このセッションでは幾つかの私立大学における独自の研究推進体制、URA組織、その活動事例などを紹介し、議論を通してお互いの研究推進支援体制の構築、個々のURAの資質の向上の一助にしていきたい。



【セッションオーガナイザー】
 角谷 賢二(関西大学 学長室 シニアURA)
 中澤 健史(関西大学 学長室 URA)


【講演者】
〇「学内研究資金をどう生かすか? ~事務局としての課題~」
渡邉 道彦(東海大学 研究推進部 研究計画課 事務職員)
東海大学工学部卒業。2010年学校法人東海大学に事務職員として採用され、研究支援・知的財産本部(現研究推進部)に配属。学内インキュベーション施設の管理事務や安全保障貿易管理関連業務を行った後、学校法人東海大学総合研究機構事務担当となり、大学内の研究関係施策等を中心に業務に従事。


〇「私立大学の研究力向上にむけて-URA制度の定着化はキーとなり得るか-」
石田 貴美子(同志社大学 研究開発推進機構URAセンター URA)
株式会社村田製作所にて国際・購買関連業務を経験後、シンガポール大手ローファームにて日系企業の相談窓口を担当。帰国後、2006年より立命館大学リサーチオフィスに勤務、7年半産官学連携の実践をたたきこまれる。2013年度より同志社大学リサーチ・アドミニストレーションセンター設置にともない、URAとして勤務開始。現在は外部資金拡大を中心とした業務に従事。伝統とブランド力重んじる組織下で新たな取組みを推進できるかが活動のキー。


〇「研究支援マネジメントの確立に向けて-外部資金申請事例からの提言-」
田中 有理(中央大学 研究推進支援本部 URA)
関東の私立大学にて研究支援類似職を経験したのち、文部科学省「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」採択校にURAとして勤務、その後現職。現在は、中大のファーストペンギンになるべくあちこち奔走する日々を過ごしています。


〇「順天堂大学大解剖 ~医療系研究支援の実際、教えます~」
高野 秀一(順天堂大学 研究推進支援センター 大学リサーチ・アドミニストレーター(URA))
国立の研究所と大学にて10年ほどの生命系研究活動を経たのち、渡米。その3年間のポスドク勤務中に知った米国医学系大学の合理的な研究推進支援の数々に感化され、研究者を支援する道を決心しました。帰国後、大学や製薬企業などの研究所の設備や建築設計を担う民間企業にて研究支援の修行を積み、研究者が快適に研究できる環境や仕組みを提案できるまでに至りました。順天堂大学では、この経験とスキルを充分に活かすことができる業務に携わり、現在、4年目をむかえました。これからも学内の研究者が少しでも研究活動に専念できるよう、研究推進支援センター26名の仲間とともに活動していきます。


〇「URAとしての文理融合のプロジェクト支援-私学ならではのイノベーション対話プログラム-」
井上 和哉(関西大学 研究支援グループ 事務職員)
2003年、関西大学事務職員として企画調査課に配属。諸規程の整備や中長期計画の策定に関する業務に従事。2006年に研究支援課に配属。グローバルCOEや私学助成等の申請支援を行う。2010年より2年間文部科学省に出向、国の産学連携関係施策に携わる。その後、関西大学に戻り、URA体制の構築に携わり、自身もその一員として外部資金の申請支援、国の施策動向の収集等を主な業務としています。


【司会者】
角谷 賢二(関西大学 学長室 シニアURA)
1975年に日立マクセル(株)に入社以来、磁気記録の研究開発を担当。その間、VHSビデオテープ、DLTコンピュータテープなどの開発に従事し、多くの新製品を世に送り出してきました。会社生活最後は、研究開発の取締役CTOとして研究開発全般を見てきました。取締役退任後、2013年から関西大学のシニアURAとしてアカデミックの分野に飛び込み、文理融合のプロジェクトを立ち上げるなどの仕事を行っています。仕事のモットーは、クイックリスポンスとスピード感のある行動です。趣味は絵画コレクションで、今美術館を立ち上げたいと願っています。