21 山口 陽子:京都大学次世代研究創成ユニット

「若手研究人材育成への取り組み
 ~未来の学術発展にむけて我々が先導すべきこと~」
9月2日 10:50~12:20 中会場(研修室601)

 国の発展は、未来への先導者になる若手リーダーの育成にかかっている。ところが学術研究や研究開発の分野における日本の現状として、若手研究者の多くは任期付ポスト間の異動を繰り返すなど不安定な雇用環境にあり、研究活動に専念し優れた研究成果を上げながら将来成長していくには困難な状況となっている。本セッションでは、MEXTやJSTが展開する「テニュアトラック普及・定着事業」や「科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業」の採択を受け、若手研究者育成を主体的に行っている以下の大学機関の取り組み・工夫を紹介したうえで、若手研究者をターゲットとした場合にどのようなリサーチ・アドミニストレーションが重要となるのかを議論する。

京都大学:「PIをめざす若手研究者支援 〜成長機会としての育成プログラムの提供〜」
 京都大学が代表機関となりH26年度より「京阪神次世代グローバル研究リーダー育成コンソーシアム」事業をすすめ、将来PIをめざす優秀な若手研究者の研究力強化・キャリアアップを目指し各種プログラムを構築してきた。そのプログラム内容の紹介ならびに、プログラム実施プロセスにおいてURAが果たしている役割について紹介する。

広島大学:「若手研究者の能力・キャリア開発」
 広島大学が代表機関として推進しているコンソーシアム事業「未来を拓く地方協奏プラットフォーム」では、若手研究者向けの能力養成やキャリア開発に係る取り組みを実施している。本事業の概要を紹介するとともに、特に研究キャリアの初期段階にある若手研究者に対する能力開発やネットワーク構築を戦略的にサポートし、必要なリソースと情報の共有を図るための枠組みについて述べる。また、リサーチャー・デベロップメントの観点から見えてきたリサーチ・アドミニストレータ―の可能性と役割についても考える。

北海道大学:「若手研究者の採用からテニュア職までのシステムとその支援」
 北海道大学では平成19年度にテニュアトラック事業を立ち上げ、全学統一規格での「育成型テニュアトラック制度」の普及・定着を推進してきた。本発表の前半では、本学のテニュアトラック制度の4つの特徴(1.広く開かれた採用(国際公募、二段階選抜)、2.人事制度(テニュアポスト担保、審査)、3.リーダー育成プログラム、4.研究環境、研究支援)の概要を紹介する。後半では、テニュアトラック制度で採用された若手研究者や関係者の声を紹介しながら若手研究者支援の在り方について考察する。





【セッションオーガナイザー・司会者
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 山口 陽子(京都大学 次世代研究創成ユニット URA)

東京大学大学院 医学系研究科 脳神経医学専攻 博士課程修了、博士(医学)。理化学研究所 基礎科学特別研究員、米国スクリプス研究所 リサーチアソシエイト、JSPS特別研究員RPDを経て、夫のいる長崎大学にてURAに転身。H27年1月から現職に就き、MEXT/JST「科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業」により発足した「京阪神グローバル人材育成コンソーシアム」にて、若手研究者育成支援プログラムの企画運営に関わっている。


【講演者】
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 小川 正(京都大学 次世代研究創成ユニット 特任教授)

大阪大学 大学院基礎工学研究科 修士課程修了、論文博士(工学)。郵政省通信総合研究所 研究官、自然科学研究機構 生理学研究所 助手、京都大学 大学院医学研究科 准教授を経て、現職に至る。MEXT/JST「科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業」により発足した「京阪神グローバル人材育成コンソーシアム」のプログラムマネージャーを兼務し、全体運営に関わっている。



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 三須 敏幸(広島大学 グローバルキャリアデザインセンター 教授)

1997年、米国テネシー大学よりPh.D.取得(原子核理論専攻)。帰国後、原子核理論研究や癌治療用加速器の小型化研究などに従事。2005年以降、科学技術・学術政策研究所およびOECDにおいて、ポストドクターをはじめとする博士人材の養成やキャリアパスに関する全国調査・国際比較分析を担当。2014年から広島大学グローバルキャリアデザインセンターにおいて、博士課程学生を含む若手研究者に対する能力/キャリア開発に係る各種取り組みを行っている。



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 米田 純一(北海道大学 創成研究機構 研究人材育成推進室 特任教授)

北海道大学工学部 応用物理学科修了。富士フイルム株式会社にて記録材料、液晶ディスプレイ用材料等の開発・商品化に従事
H22年より北海道大学 人材育成本部 特任教授。H24年より北海道大学 創成研究機構 研究人材育成推進室 室長(現職)として若手研究者育成事業に従事。